バイロン・ウィーン:楽観と下落の影

Blackstone Advisory PartnersのByron R. Wien氏による3月の市場コメンタリーは、複雑な心境の読み取れるものとなっている。
強気予想にはなっているが、下落も起こりうると示唆している。

「過去60年にわたって、米10年債利回りとCPIのスプレッドは平均で約230ベーシスだった。
これからすると、10年債利回りから(日欧の低金利による)引きずられ効果を差し引いたものは4%を超えてもおかしくない。
私は今年、米10年債利回りが3%を超えると予想している。
ただし、それを超えて大きく行き過ぎることはないだろうと考えている。」


ウィーン氏がコメンタリーに書いている。
単純明快な算数だ。
足元CPIは2%弱のところまで来ている。
だから米10年債はこれに2.3%を足して4%程度と推測される。
しかし、日欧でゼロに近い金利が続いており、これらが米金利を引きずり降ろそうとする。
だから、4%よりは小さい、3%超えぐらいを予想しているのだ。

債券投資家はもちろんのこと、市場関係者の目下の注目点は米長期金利のゆくえだ。
そして、金利上昇のカギとなるのがインフレ動向だ。
インフレを決めるのは賃金だけとは限らない。
ウィーン氏は、財政政策に熱心なトランプ政権下で財政インフレが無視できなくなっていると指摘する。


「この追加的な借金は米国債利回りや他の高格付証券の利回りにとって上昇圧力となる。
私は金利が急騰するとは思わないが、1982年に始まった債券の強気相場は基本的に終わったと信じている。」

金利上昇はあるところから株価下落要因となる。
しかし、ウィーン氏は、多くの良好なファンダメンタルズ要因を列挙し、今のところそこまで悲観はしていないと強調している。

「現在は企業収益が主導する市場であり、利益改善予想がインフレ・金利上昇(の効果)を打ち消すだろう。」

ウィーン氏のような楽天家が「打ち消す」としか言わないのはどうしたことか。
やはり楽観はできないのではないか。
そのとおり、ウィーン氏は「弱気ではないが調整が終わったとも思わない」と付け加えている。
良好なファンダメンタルズの反面、心配な点も多々あるからだ:
アルゴリズム売買、レバレッジのかかったETF、トランプ政権の近視眼的政策、北朝鮮、中国との貿易論争、中東、教育・科学研究・環境、・・・
ウィーン氏の結論はこうだ:

私は依然、年後半のどこかでS&P 500指数が3,000を超えると予想している。
そうだとしても、これら長期的な課題は市場内の課題と相まって、私を心配させる:
この先、不適切な投資家の楽観やさらなる下落が待っているのではないか。


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