石弘光氏:若者は雑魚になってはいけない

一橋大学学長、政府税調会長など要職を歴任した石弘光氏が、政権の放漫な財政運営を厳しく批判している。
国民はポピュリストの餌に惑わされることなく、有用な社会保障制度を維持するよう行動すべきと説いている。


政治家という人たちは景気がよくなって税収が上振れると、それを何かに使い切ってしまう・・・
景気がよくなると財政均衡論者になり、悪くなるとケインジアンになる。
・・・税収が増えたのならば、借金返済に回そうという発想はないのかな。

永く政府と近いところで財政再建のために尽くしてきた石氏が週刊東洋経済で嘆いている。
日本の財政政策は経済安定化政策ではない。
日本の財政政策は借金してばら撒く一方の営みだ。
石氏のとても柔らかな文末表現を私たちはどう解釈すればいいのだろう。

石氏の批判は第2次以降の安倍内閣に向かう。
野田前首相と谷垣前自民党幹事長がようやく漕ぎつけた合意も、この内閣であっさりと無視されてしまった。
石氏はここでも優しく批判している。

「かなり政治的に消費増税を利用しようとしている節があるのが残念だ。」

さらに批判は、拡張的金融・財政政策という麻薬のようなカクテルに及ぶ。
政府が拡張的財政政策を継続できるのは、拡張的金融政策のおかげだ。
非伝統的金融緩和が生み出す異様なまでの低金利なくしては、借金漬けの政府が借金を増やすことはできない。

上げ潮派、リフレ派の『成長による税収増』で財政再建が達成できるというのは、まったくの虚構だったというのが、この30年ではっきり示された。

日本の財政政策が経済安定化政策ではないことは、公債残高を見返せば一目瞭然だ。


公債残高の累増(出典:財務省)
公債残高の累増(出典:財務省)

石氏は40年来の友人、黒田日銀総裁の近況についても言及している。

アベノミクスが結果的に財政再建を先送りにした、と彼(黒田総裁)も責任を問われはしないか心配している。

おそらく世の中の多くの人は、もっと重い罪を想定しているのではないか。
財政再建先送りは「結果的」に起こったことではなく、意図的に起こったことだと考える人は少なくないからだ。

黒田総裁の官僚としての技量を疑う人は極めて少ない。
日銀総裁としてのさばきも極めて優れている。
しかし、総裁は根っからの優秀な官僚なのだ。
政府が日銀を意のままに操ろうとしたとき、そのニーズを極めて的確に満たしてきてしまった。
黒田総裁が大蔵省時代、長く主税畑を歴任されたことを考えると、なんとも皮肉な展開ではないか。

日銀には本格的な金融政策正常化の日々はおそらくやって来ない。
何かひどいことが起こるまで、2年の短期決戦は永遠に続く。
短期決戦をもくろんだ太平洋戦争と同じように、とてもひどいことが起こる確率が日々高まっていく。
そうした根拠のない不安が、ますます経済にデフレ的な色彩を与えていく。

石氏は国民こそが目を見開いて正しく行動しなければいけないと叱咤している。

これからを担う若い人は、政治家がちらつかせる目先の餌に飛びつくような、雑魚になってはいけないよ。


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