バフェット:借金で株を買ってはいけない

オマハの賢人ウォーレン・バフェット氏が、バークシャー・ハザウェイのアニュアル・レポートで信用買いの落とし穴を指摘している。
投資家はレバレッジを用いず、大きな下落局面での買いのチャンスに備えるべきと言う。


「過去53年、わが社は利益を再投資し複利の魔法を発揮することで価値を築いてきた。
毎年毎年わが社は前進してきたが、バークシャー株は4度ほど本当に深刻な下げに見舞われてきた。」

バフェット氏は株価がいかに大きく変動しうるかを投資家に教えている。
バークシャーの53年の株価推移の中から「短期のランダムな価格変動が長期の価値成長を見えにくくする生々しい例」となる4つの期間を抽出している:

期間 高値 安値 下げ幅
1973/3-75/1 93 38 59.1%
1987/10/2-10/27 4,250 2,675 37.1%
1998/6/19-2000/3/10 80,900 41,300 48.9%
2008/9/19-09/3/5 147,000 72,400 50.7%

バフェット氏は、この表が借金で株を買ってはいけないことを雄弁に物語っているという。
大昔の株価ならいざしらず、バフェット氏とバークシャーが確固たる地位を確立して久しいつい最近でもその株価が半値になった例が2例ある。
仮に1の証拠金で3の株を買い、その直後に半値になれば、残るのは借金2と株1.5だけだ。
投資家は追証の電話に苛まれることになるだろう。


さらに、問題は追証だけではない。

極めて短期間にどれだけ株価が大きく下落しうるかは予見できない。
たとえ借金が少額で、急落する市場がすぐにポジションの脅威にならなくても、恐ろしい記事の見出しと息も絶え絶えのコメントによって心の平静は失われてしまうかもしれない。
そして、平静を失った心は良い決断を下すことはない。

バフェット氏は、過去53年間と同じように今後53年間の間にもバークシャー株がこうした株価下落に見舞われるだろうと書いている。
もちろん、このことはどの銘柄にも程度の差こそあれあてはまる。
そして、それがいつおこるかはオマハの賢人にも誰にも予見できないのだ。

「信号はいつでも黄色を経ることなく青から赤に変わりうる。
大きな下落が起これば、借金のハンディキャップを負っていない者に絶好のチャンスが訪れる。」

バフェット氏の警告は現在の金融環境と無縁ではない。
10年近く非伝統的金融政策が継続する中で、経済・市場が借金の怖さに麻痺しつつある。
これは、あらゆる債務危機に共通する兆しと言えよう。
賢人はその危険性を念頭に置いているのであろう。


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