レイ・ダリオの欧州ショートは失敗?

Ray Dalio氏率いるBridgewater Associatesの新興国売り日本売り欧州売りが市場を揺らしている。
しかし、早くもそのショートの一部について、疑問を投げかける投資家が現れている。


レイ・ダリオは大きなショートで大金を失うと思う。

英Algebris InvestmentsのCEO、Davide Serra氏がBloombergで語った。
Algebrisはロンドンに本拠を置くヘッジ・ファンド。
世界の金融セクターへの投資を専門にしており、ロンドンでは名の通ったファンドだという。
その創業者Serra氏が疑問を呈するのは、イタリアの大手銀Intesa Sanpaolo SpAなどの銘柄の巨額のショートだ。
同氏はイタリアの金融界の現状を内側から語っている。

「わが社はイタリアの不良債権市場の最大の投資家の1つで、市場シェア50%を占めている。
この資産クラスの中には大きな価値のあるものがある。
わが社が価値を認めているものに対し、市場は過度に心配している。」

不良債権市場の買い手として、Serra氏はイタリアの銀行のバランスシート改善を日々感じている。
財務体質が改善するにつれて、収益力も力強く回復していくだろうとの見通しを語っている。
さらに、Serra氏に自信を持たせるのはECBの金融政策だ。
ECBは確実に金融政策を正常化したがっている。
これが、マイナス金利とフラットなイールド・カーブに苦しむ市中銀行の収益を回復させる。

「ECBがマイナス金利政策をやめゼロ金利に戻せば、イタリアの銀行の利益は20-30%瞬時に跳ね上がる。
今後12-18か月でイタリア銀行をショートするのは損をするための戦略だ。」


ブリッジウォーターがIntesa Sanpaolo SpA株のショートを最初に開示したのは昨年10月。
その後、今年2月には欧州株全体のショートを急加速している。
一方のAlgebrisはイタリアの株式・クレジットをロングしており、真逆の展望を持っている。

イタリアの銀行界で最大の時価総額を誇るIntesa Sanpaolo SpAのCEO、Carlo Messina氏は別のBloomberg番組で、同様の強気見通しを語っている。
同氏は10月の面談時にダリオ氏が同銀とイタリアをショートしていることを知ったと言う。

「私はこの(ショート)ポジションは損をするかもと彼に言ったんだ。
結局、損をしたんだと思う。
そしてまたポジションを拡大した。
また損することになるだろう。」

ダリオ氏は1月下旬、景気サイクルの最終局面の特徴として、(米)市場が噴きあがると予想した。
今月上旬、世界の株価が急落した際にも、小さな調整にすぎないと従前の見方を維持した。
その裏で、昨年第4四半期には新興国へのエクスポージャーを減らし、今年1月からは欧州株・日本株についても弱気を強めていた。
そして、今月12日には米国が今後18-24か月のうちに不況入りするリスクが高まっているとして、弱気見通しを決定的にした。
この強気から弱気へのスタンスの変化は成功だったのか。
世界の市場は米市場を先頭に落ち着きを取り戻しつつある。

イタリアの銀行への見方は静学的か動学的かの違いはあるだろう。
現状の環境が続くならAlgebrisが勝つ可能性が高そうだし、そもそも経済環境が激変する話ならダリオ氏の分がよくなるはずだ。
もしもダリオ氏が的中するならリスク・オフ、外すならリスク・オンが正解ということになる。
もっとも、多くの投資家は「市場が噴きあがる」方に希望的観測を寄せるに違いない。


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