クルーグマン:トランプの双子の赤字の伝達経路

ポール・クルーグマン教授が、レーガノミクスとトランポノミクスを比較している。
類似点と相違点を挙げた上で、トランポノミクスはやはり双子の赤字を拡大させるだろうと結論している。


「むかしむかし、まだ恐竜が地球を闊歩していた頃、共和党員の中にはまだまともなことを言う者もいた。
FRBがインフレ退治のため金融引き締めを行う中、レーガン政権は減税と軍拡の政策を追求していた。
この政策ミックスは明らかにいくらかトランポノミクスに似ている。
この2つの政策は似たような環境の中で始められた: 久しぶりに米国が大いなる平和・完全雇用・財政赤字、大きな継続的な貿易赤字を迎えようとしている時だ。」

あいかわらず品のない、クルーグマン教授のThe New York Timesへの寄稿の書き出しだ。
トランポノミクスとレーガノミクスの類似性を示唆する書き出しになっている。

恐竜の時代にまともなことを言った者とは「双子の赤字」を問題視したマーティン・フェルドスタイン教授を指しているようだ。
双子の赤字は米国にとって大きな問題だったが、それでもなんとか持続可能だったのは投資ブームのおかげであったという。
レーガノミクスにおける双子の赤字の構図とはこうだ:


  • 財政刺激策により総支出が拡大し、貿易赤字が拡大した。
  • 財政拡大と金融引き締めという逆方向の政策が金利を上昇させドル高をもたらし、支出先を国内から輸入にシフトさせた。

こうしたレーガノミクスの回顧から、トランポノミクスでも同様のことが起こるのではないかとの声が聞かれるようになった。
しかし、クルーグマン教授は相違点も多いと指摘する。
金利上昇はまだ顕著とは言えず、ドル高も見られない。
この違いは何によるものか。

「おそらく、まだ何かが起こるのだろう。
あるいは、トランプ減税はたいした財政刺激をもたらさず、単に内部留保を増やすか自社株買いに回り、あまり消費支出につながらないのかもしれない。
あるいは・・・、欧州経済が本当に極めて力強いことなど、減税以外の要因がドルを急落させているのかもしれない。」

さらに、クルーグマン教授は、米国が外国の資本に大きく依存している点を指摘する。

  • 金利上昇が対外債務のポジションに悪影響を及ぼす。
  • 米国はドル建て債務と外貨建て資産を有するため、ドル高になると債務が不変なのに資産の評価額が下落し、ネット・ポジションが悪化する。
    同様に、投資収益のバランスも悪化する。
  • 米国は外国投資家から株式による調達も行っており、法人減税の恩恵の約35%は外国に流出する。
    これも投資収益のバランスを悪化させる。

クルーグマン教授はレーガノミクスとトランポノミクスの相違点を指摘した上で、それでもやはり「双子の赤字の時代」がやってくるだろうと結論している。
ただし、その伝達経路は少々異なり、ドル高ではなく資本市場よるものが大きくなるだろうとしている。


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