米税制改革が住宅価格の逆風に

米株式市場は税制改革を材料にお祭り騒ぎを続けているが、住宅市場には大きな温度差があるようだ。
ゴールドマン・サックスは米税制改革が住宅市場にとって潜在的な逆風になったと指摘している。


「税制改革がなければ、米住宅価格はもっと上向きだったろう。
税制改革を勘案すると、住宅価格上昇は昨年の6%の好調から減速するだろう。
持ち家率と単身向けは拡大するだろうが、税制改革でややダウンサイド・リスクが増した。」

税制改革案の両院通過でゴールドマンの住宅市場向け見通しが弱気側に変化したとHousingwireが伝えている。
論拠は税控除にかかわる2つの変更だ。

  • 住宅ローン金利控除: 元金の限度が100万ドルから75万ドルに
  • 地方税控除: 1万ドルの上限が設定

後者の地方税控除とは、支払った地方税を連邦税の計算の際に控除できる制度だ。
いずれも(特に高額の)住宅取得にかかわる控除額が減るため、これが住宅市場に悪影響を及ぼすと見られる。

悪影響は小さいとの声も

ただし、中間層以下への影響は小さいとみられる。

「対照的に、低価格の市場では比較的影響が少ないと見ている。
この分野の世帯では、すでに住宅ローン金利や固定資産税を控除していないことが多いからだ。」

税控除では、項目ごとの控除の他にみなしによる標準控除も利用できる。
今回みなし控除が倍増されており、こちらの利用が増えると見られる。
それもまた中間層以下への影響を緩和する。


S&Pケースシラー住宅価格指数の開発者としても有名なロバート・シラー教授は昨年夏の段階からこの議論にコメントしている。
住宅価格に影響する要因の中で税制改革の影響はさほど大きくないとの見方だった。

富裕層が移転を始める?

確かに中間層以下にとっては大きな変化ではないのだろうが、富裕層にとっての影響は甚大だ。
新債券王ジェフリー・ガンドラック氏は今回の税制改革で自身の税金が15%も増えると明かした。
株式市場は実質減税と浮かれているが、こうしたネガティブな面が強く感じられるようになれば、経済・市場に悪影響が及ぶ可能性があると指摘している。
また、レイ・ダリオ氏も地方税控除の上限が地方税の多い地域にダブル・パンチを与えると危惧している。
住民の負担が増すだけでなく、富裕層の転出が起こりかねないというものだ。

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