河野龍太郎氏:イノベーションがバブルを後押し

BNPパリバの河野龍太郎氏は、日銀の金融緩和が金融の不安定を及ぼしかねないと指摘した。
構造的に賃金が上がりにくい環境でインフレを偏重して過度な金融緩和を続ければ、資産価格・経済を過熱させかねないという。


構造的要因によって賃金やインフレが上がりにくいなかで、中央銀行が無理にインフレを押し上げようと緩和的な金融環境を続ければ、すでに割高な株価をさらに押し上げ、実体経済から乖(かい)離するだけではないのか。

河野氏がReutersへの寄稿で、過度な金融緩和や株式ETF買入れがバブルを誘発しかねないと懸念している。
株式投資家からすれば株高をもたらす政策は利益をもたらしてくれるとも言えるが、その結果、金融システムが不安定化するなら話は別だ。
着実に稼いだリターンを一時の変節によって失いかねないことになってしまう。


長いタイム・ラグを覚悟せざるをえない

河野氏は長引く異例の金融緩和を労働分配率の低下から説明している。
「イノベーションとグローバリゼーション、社会規範の変化は分かち難く結び付き、労働分配率を低下させている」のだという。
イノベーションやグローバリゼーションは全体のパイを大きくするものとされているが、その恩恵は「知識資本や資本の出し手に向かい、平均的な労働者の所得は必ずしも増え」ない。
お金のあるところにお金が山積みされ、消費や投資に向かいやすいところにはお金が回らない。
消費性向の高い中間層以下にお金が回るのではなく、金持ちにお金が集まる。
投資が必要な産業ではなく、投資が少なくて済むITセクターに利益が集中する。
だから経済全体に波及しにくい。
資産価格上昇による資産効果は確かに存在するが、それは株式投資の多い国での話だ。

労働分配率が低下したから賃金が上がりにくい。
これは永遠に続くのか。

「確かに最終的には実質賃金は上昇する。
だが、問題はそのラグである。
大きな産業構造の変化が生じる場合、イノベーションによる生産性上昇が平均的な労働者の実質賃金の上昇につながるには、場合によっては、数十年の長い年月を要する。」

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