
榊原英資教授:年内のテイパリングはない
ミスター円こと青山学院大学 榊原英資教授がBloombergのインタビューに応えた。
量的緩和について、黒田総裁はまだテイパリングも出口も考えていないだろうと言う。
「彼(トランプ大統領)のやってきたことは相当に異常なことばかりだ。
いろんなところに影響が及ぶはずだ。」
榊原教授は、大統領就任までの「トランプ熱」(株高・ドル高)も覚め、市場は少し下げるのではないかと予想している。
市場はようやく現実の政策を心配し始めたところだという。
黒田日銀総裁の胸の内
黒田総裁は、財務省時代、榊原教授の後任の財務官だ。
「黒田総裁は友人であるため自分にはバイアスがある」と断りつつ、榊原教授は黒田総裁の内心を代弁している。
教授が推測する黒田総裁の胸の内はこうだ:
- 現状の経済に満足している。
「成長率は1%と成熟した経済ととしては合理的な水準だ。
インフレは0-1%のレンジにあり、デフレ状態からは脱した。」 - イールド・カーブ・コントロールは効いていると考えており、同政策を継続する。
- イールド・カーブ・コントロールは円安誘導を目的としていない。
- 次第に100円程度まで円高が進むと考えているのでは。
「1ドル100円は日本経済にとって問題となる水準ではない。」 - 2%の物価目標は放棄しないが、目標を達成するとも考えていない。
「1%のインフレで満足なはずだ。
仮に2%の目標を放棄してしまえば、それは日銀の政策変更を示唆しかねず、周囲はそうとるだろう。
それは望まない。」 - 年内のテイパリングはない。
「金融緩和は従来どおり続け、現時点で出口は考えていない。
いずれ考えるだろうが、今ではない。」
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