木内登英氏:日本は一番市場を歪めている

7月まで日銀審議委員を務めた木内登英氏が、日銀の金融政策と市場へのインプレケーションについて語った。
国債市場をこのまま歪め続けると、一気に調整が起こり大きな金融不安を引き起こしかねないと警告した。


景気の回復が続いても過熱感のないゴルディロックス経済においては、当初の心配より緩やかにしか利上げが進まず、長期金利も低いままで株価も上がりやすいという楽観論が強まるのが近年の特徴。
来年もそう簡単には崩れないだろう。

木内氏はテレビ東京の番組で、来年も市場の楽観が継続しそうだと予想した。
下がれば中央銀行が買い支えてくれ、かといって賃金・物価が上昇しないため急激な金融引き締めも起こらない。
金融政策正常化とはあくまでゆっくりとした景気拡大の裏返しなのである。
こうした環境では、本来は金融引き締めであるはずの金融政策正常化が金融市場に楽観を与えるのだという。

木内氏は、日銀も金融政策正常化を急ぐべきと主張する。
各国の金融政策は金融市場、特に国債市場を歪めてきた面があり、日本は世界一市場を歪めてきているという。

「これが一気に調整すると非常に大きな金融不安につながる可能性がある。
・・・
ずっと国債を買い続けるとどこかで流動性がなくなって非常に混乱する。
それが世界の金融市場の大きな調整につながる可能性がある。」


長期金利ターゲットの短期化

木内氏が予想する2018年の日銀の政策調整は、従来予想通り(早ければ年前半の)10年から5年への長期金利ターゲットの短期化だ。
木内氏は短期化のメリットいくつかを挙げている。

  • イールド・カーブがわずかにスティープ化し、銀行の貸出インセンティブが戻ってくる。
  • 10年より5年の金利を押し下げた方が実体経済への効果が大きい。
  • 短い金利の方がコントロールが容易。
  • いざというときに備えて国債買入れを減らしておける。
  • バランスシートの縮小が容易になる。

長期金利0.2%、ドル円5円

木内氏は、長期金利ターゲットを5年金利ゼロ%とすることで、10年金利は0.20%程度まで上昇する可能性があると予想している。
小幅な引上げで銀行の収益が息を吹き返すわけではないとしながらも、金融政策の方向性に期待感を持たせることができるだろうという。

長期金利ターゲットの短期化はより幅広い市場にはどういう影響を及ぼすだろうか。
木内氏によれば、日銀とのコミュニケーションが密にとれている債券市場についてはサプライズはないだろうという。
一方、為替市場はやや大きな反応を示す可能性があるという。

「ユーロの場合(金融政策正常化期待で)対ドル15%ほど高くなった。
ECBは正式に正常化をアナウンスしたが、日銀は事実上の正常化という形で進める可能性が高いので、半分ぐらい織り込む程度ではないか。
反応したとしてせいぜい5円程度(の円高)だろう。」

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