岩村充教授:日本の危機が始まる瞬間

岩村充 早稲田大学教授が、異次元緩和の出口戦略について頑なに口を閉ざす日銀を批判している。
週刊エコノミストへの寄稿で、異次元緩和の出口シナリオを論じている。


出口を語らない日銀を注視する人々が、日銀は出口を語らないのではなく、実は語ることができないらしい、日銀はゼロ金利と国債引き受け同然の政府債務ファイナンスを永遠に続けるだろう、そう思い始めたとき、日本の危機が始まる。

岩村教授の出口のシナリオはここから始まる。
実は、このような考え方は今に始まったものではない。
教授の言う瞬間とは、量的緩和のルーツとも言える、ポール・クルーグマン教授の「無責任になる約束」が世間から信じられる瞬間に他ならない。
そのことは岩村教授も滲ませている。

「もしかすると、このシナリオを当局者はひそかに望んでいるのかもしれない。」


市場関係者からすればこれは《ひそかな望み》ではなく《見え見えの望み》のように映っているはずだ。
そうでなければ、期待を操ろうとする量的緩和政策は理論的に成立しえないのだから。

ジャンプアップ的物価上昇なら金利上昇を回避できる

では、出口のシナリオはどう進むのか。
岩本教授の一つのシナリオは「ジャンプアップ的な物価上昇」が起こると言うものだ。

仮に、ジャンプアップ的な物価上昇が一瞬で終わり、その後は物価が安定する場合、今度は「物価の再下落、つまりしぶといデフレになりかねない」と岩村教授は説明する。
それでも、このシナリオのいいところは、一瞬で物価上昇が完結するため、前後で金利の上昇が抑えられるという点だ。
金利が上がらないなら、日銀の財務悪化も起こらないし、政府の利払い負担が増えることもない。
インフレによって現預金・債券の保有者が購買力を失い(=インフレ税を払い)、政府債務の実質的価値を減ずることができる。
しかし、これは「税こそ民主主義」を唱える政権が選ぶべき手段ではない。

(次ページ: インフレ昂進で利上げが必要に)


ページ:  1 2

 - 国内経済