ラグラム・ラジャン

 

ラグラム・ラジャン:ある日突然インフレが・・・

前RBI総裁 ラグラム・ラジャン シカゴ大学教授が、世界同時的な経済回復に条件付きながら太鼓判を押している。
慎重な教授が、短期的にはそれを素直に受け取るべきだという。


短期的に見ると、地政学的リスクが浮上しないかぎり、世界経済に対するマイナス要因はあまり見当たらない。
世界経済は堅調に成長している。
・・・短期的には世界経済はとても強く、それを素直に捉えるべきだ。

2つほど前提条件がついたものの、ラジャン教授はテレビ東京番組で、好調な世界経済に太鼓判を押した。
中国で多少陰りが見えるものの、欧州を筆頭にその他では順調に経済成長している点を指摘した。

「このように世界経済全体が成長するのは好ましいニュースであり、ようやく力強い成長が現実のものになったというのが私の見方だ。」


金融政策がもたらす「断層」

この当たり前にもとれる何気ない一言は、実は重い意味を含んでいる。
2005年IMFチーフ・エコノミストを務めていた時のジャクソンホールで、ラジャン教授はリーマン危機をそのメカニズムとともに予想し、ローレンス・サマーズ氏をはじめとする大勢から失笑を買った。
結果、ラジャン氏が正しかった。
ラジャン氏を一躍有名にしたのはその2011年の著書『フォールト・ラインズ「大断層」が金融危機を再び招く』だろう。
この著書では、危機を引き起こす国内・国際的な断層が指摘されている。
これは社会の断層であるとともに、経済・市場の断層でもあり、その一因は金融政策だ。
マネーには、金融が緩和的な経済・市場から引き締め的な経済・市場に流れる傾向がある。

経済・市場の断層として重要なのは、各国経済間での断層だ。
先進各国のように、金融市場が比較的同期している場合には大きな問題は起こりにくい。
資産価格が同期しやすいがゆえに、たとえば米資産を売って日本の資産を買うという行動はさほど高まらないからだ。
しかし、先進国-新興国の間の断層となるとそうはいかない。
1990年代以降、マネーは先進国と新興国を行きつ戻りつしている。
マネーが流入した経済では資産価格上昇・金利低下圧力となり、流出した経済は資産価格下落・金利上昇圧力に見舞われる。

(次ページ: 同時拡大が重要なワケ)


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