
ビル・グロス:剥落する減税への期待
債券王ビル・グロス氏が、17日の米市場の大幅な下げについてコメントしている。
長期金利の上昇も予想しているが、当面は政治が重要な材料になると指摘した。
「投資家は思い出さなければいけない。
11月の選挙以来、株価は10%上昇した。
理由の一部は企業収益が良好であったためだが、10%上昇には減税への期待も大きかったに違いない。」
グロス氏はFoxのインタビューで投資家に注意を喚起した。
17日の下げの引き金がトランプ大統領のロシア・ゲート疑惑の深まりにあるのは言うまでもないが、その背景にはトランポノミクスへの期待感の剥落がある。
大統領と共和党が掲げる減税、インフラ支出、規制緩和、レパトリ減税などの経済政策が遅延・頓挫するのではないかとの不安感である。
グロス氏は従来から市場が政策効果について過剰な期待を抱いているとして、資産価格が歪んでいると指摘してきた。
「株式だけでなく債券も、低リターンといういう観点では、将来のキャピタル・ゲインが限定的となる水準にある。
市場は二桁リターンが得られると考えているようだが、そうはならないだろう。」
トランプ政権をめぐる混乱が高まり、財政政策が遅れるようなら、FRBも慎重にならざるをえないだろうとグロス氏は語る。
現在は年3回計0.75%のペースでの利上げが予想されているが、1回0.25%のペースに鈍化するかもしれないという。
一方で、世界の金利は上昇に向かうとも予想し、米10年債利回りは今後6-9か月で2.50-2.60%まで上昇すると予想した。
「しかし、ワシントンでの問題が続く限り、(金利上昇は)大きな材料じゃない。」