ローレンス・サマーズ

 

サマーズが暴く米減税案のトロイの木馬

日本の市場関係者にも米減税論議の進捗に沸いた人が多いようだが、その何割の人が上院共和党案の本質を正しく理解しているだろう。
ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が紅潮した顔で吼えまくるのには理由があったのだ。


以前から共和党税制改革案を批判してきたサマーズ氏であったが、上院共和党案が上院を通過した際の怒りようは常ならぬものがあった。
日頃はどんな議論においてもふてぶてしく見えるほどの自信をみなぎらせている同氏が、この日のCNBC出演では他の出演者から「やや感傷的」となだめられるほど怒りを露わにしていたのだ。


Larry Summers: Senate tax plan will cause thousands to die from CNBC.

トロイの木馬

「この法案は極めて危険だ。」

サマーズ氏がこう語るのは、それが税制改革として問題があるからだけではない。
上院の減税法案には、オバマケアを骨抜きにするためのトロイの木馬が仕掛けられているのだ。
オバマ政権は国民皆保険に近づくことを目指し、強いて日本流に言えば国民健康保険に似た制度を導入した。
これによって、無保険者を減らそうと企図したのだ。
対するトランプ大統領と共和党は、なんとかしてオバマケアを廃止しようと画策してきた。
しかし、それらは身内からの反対もあって敗れ去ってきた。
そこで、上院共和党は姑息とも言える手段を取った。
オバマケア廃止を通すのが無理なら、身内からの受けのいい減税案とセットにしようというのである。
CNBCの解説はこうだ。

先週上院を通過した共和党による税制改革法案の条項の一つは、その(オバマケアへの加入)義務を取り除くというものだ。
議会予算局によれば、この条項が発効すれば13百万人の国民がオバマケアから脱退するだろうという。

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