
グリーンスパン vs ビル・グロス
アラン・グリーンスパン元FRB議長が、米債券市場の回復は長続きしないと警告している。
債券王ビル・グロス氏は、日銀の長期金利ターゲット導入により、米金利にもフロアが形成されると予想している。
グリーンスパン氏は、米国債の動向についてこう語っている。
「強気相場とは、絶対に反転しないように見えるものだ。
現在は、投機的グレードの証券のピークとして典型的なパターンだ。」
グリーンスパン氏は以前から金利上昇・スタグフレーション到来の懸念を表明していた。
長期的には、米10年債利回りは5%程度まで上昇すると警告している。
一方、債券王ビル・グロス氏が長期債の保有を増やし、ポートフォリオのデュレーションを延ばしているとBloombergが伝えている。
経済鈍化・低インフレが続くと読んでの動きだ。
デュレーションを延ばせば、より大きな期間プレミアムを期待できるだけでなく、債券が買われる(金利が低下する)局面ではキャピタル・ゲインが狙える。
グロス氏は、日銀の長期金利ターゲット導入を根拠に、デュレーション延長に動いたのだという。
「債券の弱気相場が始まるタイミングは間違いなく後倒しになった。
日銀の(長期金利ターゲット)政策によって、私がソフト・キャップと呼ぶ現象が引き起こされる。
ソフト・キャップは、米国債・英国債・独国債にキャップをつける。」
日銀が長期金利にフロアをつけると、それが金融市場を介して海外の国債市場にも伝播する。
結果、各国の長期金利にソフトなフロアが形成され、債券価格にはキャップが付されることになるかもしれない。
債券価格が上がらないと見れば、米長期国債も安心して買えるというわけだ。
グロス氏は
「中央銀行には逆らうな。」
という市場の鉄則を喚起している。
今でこそ犯人説もささやかれるグリーンスパン氏は、かつては金融政策の神様と言われた人。
今でこそ退位したとささやかれるグロス氏は、かつてはたった一人の債券王だった人。
どちらの見立てが正しいのだろう。