エラリアン:惨事は大成功しているものから始まる

独Allianz首席経済アドバイザーMohamed El-Erian氏が、市場のリスク要因について語った。
投資家のETFに対する過信が下り坂を急にしかねないという。


「新興国市場のあるセグメント、ハイ・イールドのあるセグメントに投資する際には流動性への配慮が重要とする世界で私は生きてきた。
市場の惨事は何かとても成功したものから出てくるものだ。」

投資アドバイザー向けの「Inside ETFs」と題されたコンファレンスに招かれ、エラリアン氏が目下のリスクを列挙したとBloombergが伝えた。
エラリアン氏は地政学リスクなどいくつかのリスクを挙げたが、その中に市場の流動性枯渇のリスク、とりわけETFの流動性が挙がっていた。
日本人にとってのETFというとTOPIXや日経平均など主要株価指数に連動する商品がなじみ深いが、エラリアン氏がここで指摘しているのはもう少し一般的でない資産クラスのETFのようだ。


ETFが下げ相場をきつくする

ETF(上場投資信託)とは証券取引所などに上場している投資信託。
通常は何らかの指数、例えば様々な株価指数・価格指数の動きに連動するよう設計されている。
新興国株ETFなら新興国株等、ハイ・イールド債ETFならハイ・イールド債等に(直接・間接に)投資することがほとんどだ。
仮に、流動性の高くない新興国株、ハイ・イールド債に投資すれば、そのポートフォリオの流動性も高くはならない。
しかし、その投資信託が上場したとたん、投資家は流動性の高い商品だと錯覚するようになる。
個別株のように市場で売りに出せばいいと考えるからだ。

「全体から言えば一部だが、いくつかのETFでは顧客に対し安易に過大な流動性を約束してしまっている。
顧客は、(ETFの)裏づけ資産が提供できるよりはるかに大きな流動性を想定してしまっている。」

しかし、投資家の多くが売りたいと思う時、平時とは異なり、低流動性のETFの問題は大きく増幅される。
皆がそのETFを売り始めると、運用会社はポートフォリオの流動化を始めざるをえず、それが流動性の低い市場での大きな価格下落を引き起こす。
ETFには市場での時価とポートフォリオの中身から計算される時価の2つの時価がある。
ETFで投げ売りが始まると、市場時価が先行して下げることも起こりえ、これはポートフォリオの中身となる資産クラスの市況をいっそう暗くする。

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