アデア・ターナー

 

アデア・ターナー:リカーディアン均衡からの脱出策

英金融サービス機構の元長官で、以前から日本にヘリコプター・マネーを勧めてきたアデア・ターナー氏が、Reutersのインタビューで持論を繰り返している。
日本にリカーディアン均衡からの脱出策を提示している。


日本は、追加的な政府支出の効果が将来の増税予測によって相殺されるという『リカーディアン均衡』にはまってしまっている。
・・・
この罠から抜け出すためには、(中央銀行が財政赤字を穴埋めする)『マネタリーファイナンス』を国民に向けて明示的に行う必要がある。

ターナー氏が日本にヘリコプター・マネーを勧めている。
リカーディアンとは、借金した場合に真面目に財政再建をして借金を返そうとする政府のことだ。
日本人は律儀だから、借金を借りたら返すことを考える。
国が財政出動した場合、将来は緊縮しなければならないと思う。
だから、財政出動の効果が上がらない。
足元の需要増を将来の緊縮の予想が打ち消してしまうのだ。


同じことが金融政策にも言える。
量的緩和政策の理論的根拠は、ポール・クルーグマン教授の「無責任になる約束」にある。
中央銀行が「無責任になることを信用できる形で約束」できるならインフレが実現することになっている。
しかし、中央銀行は「無責任になる約束」をしていないし、国民もそう考えていない。
つまり、日本にはインフレ期待が形成されにくい状況があるのだ。

3つの提案

この状況を脱するためにターナー氏はヘリコプター・マネーを勧めている。

  1. 2019年の消費増税を再延期し、財政赤字を続けろ。
    つまり、民間がお金を使わない分を政府が代行しろという。
  2. 国債買入れを継続し、日銀以外の保有する国債が増えないようにしろ。
  3. 日銀保有の国債の一部を無利子永久国債に転換し、実質的に「消却」しろ。
    (政府・日銀連結の)統合政府の概念を用い、公的債務から日銀保有分を差し引く考えを徹底すべき。
    「よく言われている国内総生産比250%よりも大幅に低い水準であるならば、国民のマインド面にポジティブな影響を与えるだろう。」

要は政府債務のマネタイゼーションを行うヘリコプター・マネーである。
ターナー氏は自案を「日本が取り得る最も有効な打開策」と自画自賛している。

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